集成材は、無垢の木より品質面や強度面で優れています。
そのため木造住宅の構造材や内装材、そして家具や木工品などの多くに集成材が使われています。
集成材にはいくつかの種類があり、用途が決まっていますので、用途に合った集成材を使用する必要があります。
そんな素晴らしい集成材の種類と用途をご紹介します。
りょう(DIYアドバイザー)
集成材の種類と用途
集成材は主に木造住宅の建築用の材料として使われたり、家具や木工品の材料として使われています。
集成材は、JAS(日本農林規格)によってその規格が定められています。
内部の造作材や家具用材などのような強度を必要としないものと梁や柱など構造的に強度を必要とするものに分けられています。
強度を必要としない集成材を造作用集成材、強度を必要とする集成材を構造用集成材と呼んでいます。
そして造作用集成材と構造用集成材の中に、美観を目的として表面に薄い板を貼っているものと貼っていないものがあります。
薄い板を貼ることを「化粧ばり」といい、貼っていない集成材を「造作用集成材」、貼っている集成材を「化粧ばり造作用集成材」といいます。
同じく、「構造用集成材」、「化粧ばり構造用集成材」と呼び、種類としては4種類になります。
そして上記の4種類に加えて、特に断面が大きい構造用集成材を「構造用大断面集成材」と呼び区別しています。
したがって集成材の種類は、全部で5種類ということになります。
造作用集成材
板材、又は角材を貼りあわせたままの集成材で、素地のそのままを生かして使用される集成材です。
主として強度を必要としない構造物等の内部造作用としてもちいられる集成材をいいます。
私たちが木工用として使用するのは主にこの造作用集成材になります。
木工以外の構造物等の内部造作用としては、階段手すり、笠木、入り口の枠、窓枠、壁材、カウンターなどになり、特に洋室での使用が多いようです。
化粧ばり造作用集成材
化粧ばり造作用集成材は、上記の造作用集成材の表面に美観を目的に非常に薄い板を貼り合わせたものです。
この板は非常に薄く、薄いものは0.5mm前後かそれ以下になります。
化粧ばり造作用集成材が使われている主なところは、構造物の中の和室に使われる、なげし、敷居、鴨居、落としがけ、かまち、フローリングといった造作材になります。
敷居、かまち、フローリングなど床に接する部分は、摩擦によってはがれることがありますので、少し厚い板が貼られています。
薄板に使われる材種は、和室に合わせた、桧、杉、栂、スプルースといった針葉樹、かまち、フローリングなどには硬い広葉樹の板が使われています。
構造用集成材
構造用集成材は強度を必要とする構造物の耐力部材として使用されています。
主なものとしては、柱、桁、梁、などになります。
したがって構造用集成材は構造物の壁の内部に納められていることが多いので、普段私たちの目に触れることはあまりありません。
構造用集成材は建物以外に、橋梁や木造船などにも使われています。
化粧ばり構造用集成材
化粧ばり構造用集成材は上記の構造用集成材の表面に薄い板を貼ったものです。
耐力部材として強度が必要であり、なおかつ美観も得たい場合に使用されています。
主な用途としては、木造住宅に使われる外から見える柱や梁などに使われています。
構造用大断面集成材
構造用大断面集成材はその断面の大きさによって、甲種と乙種の2種類あります。
甲種:厚さ、巾とも15cm以上で、断面積が300cm2以上のもの。
乙種:甲種以外で、巾が7.5cm以上、積層方向の厚さが15cm以上のもの。
主な用途としては、大型構造物の柱、桁、梁、アーチなどで、橋梁部材や木造船などにも使われています。
島根県にある出雲ドームのアーチ型の梁が構造用大断面集成材で造られています。
実際に見に行ったことがあるのですが、断面はかなりデカイです。
造作用集成材の種類
広葉樹
主な広葉樹の造作用集成材には以下の種類があります。
ナラ集成材

タモ集成材

ゴム集成材

カバ桜集成材

ビーチ(ブナ)集成材

ハードメープル集成材

ホワイトアッシュ集成材

ウォールナット集成材

その他の広葉樹集成材には、ニヤトー集成材 / チーク集成材 / ペルポック集成材 /アルダー集成材 等があります。
針葉樹
主な針葉樹の造作用集成材には以下の種類があります。
桧集成材(節なし)

桧集成材(節あり)

杉集成材(節なし)

杉集成材(節あり)

メルクシパイン集成材

ノースパイン集成材

その他の針葉樹集成材には、米松集成材 / 米栂集成材 / スプルース集成材 /ポンデローサパイン集成材 等があります。
集成材とは
集成材とは、板材、又は角材を繊維方向(長さ方向)を同じ(平行)にして、長さ、巾、厚さ方向に集めて接着させて造った木材のことです。
集成材はJASでその規格が定められており、定められた製造方法、加工方法、製品基準に合ったものが集成材と呼ばれています。
また集成材は基本的に、長さ、巾、厚さ のそれぞれを混ぜ合わせて貼りあわせをすることはなく、長さは長さ同士、巾は巾同士、厚さは厚さ同士を貼りあわせます。
製造工場の規模によりますが、貼りあわせることによって集成材はかなり大きなものまで作ることができます。
また、ただ真っ直ぐに貼りあわせるだけでなく、湾曲しながら貼りあわせることも可能です。
小さなものではアーチ型をした窓枠や入り口の枠や、大きなものでは体育館などの広い空間を飛び越えるくらいの湾曲した梁などに使われています。
造作用集成材の構造
私たちが家具用や木工工作用としてホームセンターやインターネットで購入できるのは、5種類の集成材の内の造作用集成材になります。
構造用集成材も木工用として使用することは出来ますが、樹種が限られます。
造作用集成材は構造用集成材の代用としては使用することは出来ませんので注意してください。
造作用集成材は板材、又は角材を貼りあわせて層のようになっていますので、一般には「積層材」とも呼ばれています。
造作用集成材は下記の図のような構造となっています。

集成材も含めて無垢の板材などの寸法を表記する場合は、「厚み」、「巾」、「長さ」の3種類の寸法を用いて表します。
「厚み」「巾」については、断面の木口の方形の短辺を厚み、長辺を巾としています。
「長さ」については、木材の繊維が流れる方向をいいます。
上記は木材の寸法を表す場合の古来からの決め事ですので、もし皆さんが板材などを購入される場合は、上記の呼び名で寸法を表していただければ購入先とスムーズに話ができると思います。
板材を使って出来上がった製品であるカウンターや天板などでよく使われる、
「高さ」「奥行き」「横幅」という言葉とは混同する場合がありますので注意してください。
集成材の厚みについては、造作用集成材ではよく使われるのはだいたい20mmくらいから40mmくらいになります。
カウンターやテーブルの天板に使われる厚みがだいたいこの範囲になります。
実際には集成材の工場においては、もっと薄いものや厚いものを製作することが出来ます。
巾については、用途によっていろいろな巾がありますが、工場では製作可能な最大幅というのがあり、工場の規模や設備機械によって決まっています。
私が取引している集成材の工場では製作可能最大幅は1300mm(1.3m)でした。
長さについても工場によって違いますが、私の取引先工場では6mまででした。
実際には輸送上の問題がありますので、通常の宅配便等の場合は4mが限界と思われます。
現在国内で販売されている集成材については、日本国内で製造されているものもありますが、多くは外国で製造されて輸入されているものが主流となっています。
造作用集成材も現在は多くがフリー板という形で輸入されており、国内ではフリー板を使ってさまざまな形状の集成材が再加工されて作られています。
造作用集成材の厚みについては、輸入されているのはおよそ40mmくらいまでの厚みのものになっています。
したがって、厚みについては40mmくらいまでは貼りあわせはありませんが、40mmを超えると複数枚を貼りあわせたものになります。
巾については、上記の図にも書いていますが、一つの角材の巾はおよそ30mm前後となっています。
この巾も実際に製作している工場によって多少変わっていますが、およそ25mm~40mmの範囲内になっています。
ただ、1枚の集成材の中で、一つ一つの角材の巾が変わるということはなく、1枚の集成材の中の角材の巾は全て同じ巾で貼り合わされています。
長さについては、それぞれ1本の角材の長さも1本物ではなく、繋ぎ合わされています。
1本の無垢の長さはランダムで決まりはありません。
長さ方向の繋ぎ合わせは、上記の図に書いているように片方がギザギザになっているような繋ぎ方をしています。
専門的にはこれを「フィンガージョイント」と呼んでいます。
ちょうど両手の指でつなぎ合わせた形に似ていることから呼ばれていますが、このような接着をすることによって接着強度が大幅に向上します。
ギザギザになっている方をフィンガー、真っ直ぐな線として表れる方をバットといいます。
現在の造作用集成材では、フィンガーが側面に現れる集成材が多いのですが、中には広い表面側にフィンガーが現れる集成材もあります。
またこのフィンガージョイントの位置は、図のようにランダムですが、これは、あえてランダムに繋いでおり、隣の角材とのフィンガージョイントの位置が同じ位置にならないようにしています。
この方が全体的に強度がしっかりした集成材が出来上がります。
造作用集成材の取り扱い上の注意点
集成材から板取りをするときの留意点
造作用集成材を含めた全ての集成材の最大のメリットは、限界はありますが、厚み、巾、長さを自由に希望の大きさのものを作ることができるという点です。
ダイニングテーブルなどの大きな天板などはまさに造作用集成材の得意とするものです。
ただし、小さなものを製作する場合は造作用集成材は得意ではありません。
造作用集成材の構造のところで書いていますが、巾方向の貼りあわせと長さ方向の繋ぎ合わせの内、長さ方向のフィンガージョイントの接着強度はあまり有りません。
理由は、長さ方向というのは、元々は木が山に生えているときの上下方向になりますので、長さ方向の接着面の木口には水が通るための穴が沢山あいています。
そのため、接着剤がその穴に吸い込んでしまって接着強度が落ちるのです。
したがって強度を増す目的で、フィンガージョイントのようにギザギザにして接着させています。
それでも接着強度は十分ではないので、長さ方向のジョイントの部分を両側から挟むように接着しています。
またとなり同士の角材のフィンガージョイントの位置が同じ位置にならないように、千鳥になるように貼りあわせています。
したがって、1枚の集成材の巾には3本以上の角材(3層以上)があるのが理想となります。
特に強い力がかからなければ2本(2層)でも大丈夫ですが、多少とも力がかかる部分に使用する場合は、3層以上とするか、あるいは小さいものは無垢材を使用するのが良いでしょう。
1本(1層)の場合は、フィンガージョイントの部分で簡単に折れてしまいます。
集成材の正しい施工方法
集成材を取り扱う場合は、以下の点に留意してください。
1.雨天時の施工はできるだけ避ける。
2.集成材を常時水のかかるところや湿気の多い場所では使用しない。
3.集成材を塗装する場合、表裏とも塗装しバランスをとる。
4.集成材の木口はペーパーで仕上げてから3回以上塗装する。
5.モルタルなど乾いてない部分への施工は避ける。
6.反り防止のための吸付き桟等をとりつける。
上記の6つの項目は、全て集成材が湿気による変形を起こすことを防止するための方法です。
変形の代表的なものが「反り」ですが、集成材は反らないと考えておられる方がおられるようですが、集成材も無垢材の集まりですので反りが生じます。
集成材を使って何か作られる場合は、必ず反り防止の措置を行ってください。
集成材が反った時の対処方法
1.集成材が反ってしまった場合は、反った時の上下(表裏)を逆にして、しばらく置いてみて下さい。
この方法でおおむね元の状態に戻ります。
2.上記の方法でも戻らない場合は、強制的に固定して直すしか方法は有りません。
集成材の保管上の留意点
1.風雨にさらされる場所や直射日光があたる場所での保管は避ける。
2.集成材を地面に直接置かない。
3.集成材を開梱したら長時間放置しないで、出来るだけ速やかに施工する。
反り防止の加工方法につきましては下記ページをご覧ください。
◎木の板の反りと反り防止の方法。

構造用集成材の強度
前述しましたように、集成材には強度を必要としない造作用集成材と耐力部材としての強度を必要とする構造用集成材があります。
集成材の規格の対象となる事項には、樹種、材料の品質、曲がり、そり、ねじれ、接着剤、寸法、表示事項、各種の試験結果などがあります。
このように集成材は、それぞれの集成材の種類ごとに細かく規定されています。
また集成材は、今までの経験から無垢の製材品に比べて割れにくく、強度が大きいことが実証されています。
構造用集成材のせん断許容応力度は、無垢の製材品の約1.5倍に設定されています。
テーブルや家具などに集成材を使用する場合は、強度は関係ありませんので造作用集成材を使用します。
しかし、住宅の構造材として耐力部材に使用する場合は、必ず構造用集成材を使わなければいけません。
構造用集成材を使うことによって、無垢材の1.5倍の強度を得ることが出来ます。
つまり集成材は、無垢材より1.5倍強いのです。
集成材が無垢の製材品より1.5倍の強度を持っている理由は、集成材が持つ積層効果にあると言われています。
積層とは、層を積み重ねることですが、図に描くと以下のようになります。

左側の無垢材は、自然のままですので、1本の木です。
一方集成材は、右側のように幾つかの無垢の木を積み重ねて層になっています。
またそれぞれの層は強力な接着剤によって強く貼り合わされています。
また集成材は、貼り合わされる段階において、節、割れ、くされなどの無垢の木に含まれる欠点が除かれています。
一方無垢の木は自然のままですので、全てではありませんが、節、割れなどの欠点が含まれる場合があります。
したがって、無垢の木と集成材を比べてみた場合、集成材の方が、品質のバラツキが少なく、したがって強度のバラツキも少ないと言えます。
たとえば1本の無垢の木の棒があったとして、1か所だけ腐れてしまっている部分があり、その他は全く正常であったとしても、木を曲げていくと1か所の腐れてしまっている部分で簡単に折れてしまいます。
つまり木の棒の強度は、1か所の腐れた部分に依存しています。
いくら丈夫な無垢の木でも、1か所でも弱い部分があると、その木の強度は弱いものになってしまいます。
つまり無垢の木のように欠点があり、品質のバラツキが大きいと、全体として弱くなってしまいます。
一方集成材は、積層処理において全ての欠点が取り除かれており、品質のバラツキが少なく、したがって全体として強度が高い材料と言えます。
木造住宅を建てられるご計画のある方は、骨組み材には構造用集成材をお使いになられることをお勧めします。
集成材の接着方法及び接着剤
集成材は巾方向、長さ方向、厚み方向に接着剤を用いて接着されて製作されますが、その自由度は高くさまざまな大きさ、形状の集成材を製作することが可能です。
また大型構造物(ショッピングセンター、体育館、ドーム)等では、湾曲した構造用大断面集成材を製作することが可能です。
接着には大きく分けて次の4つがあります。
縦継ぎ
木材を長さ方向に接着することを縦継ぎといいます。
木材の節や割れ等の欠点を除いて接着されるため、1本の挽き板の長さはランダムとなります。
縦継ぎの方法には何通りかありますが、現在はフィンガージョイントという方法が一般的です。
フィンガーが側面に出る場合と、表面に出る場合の2通りの方法があります。
現在は、側面に出る方法が一般的に多くなっています。
集成材の接着剤はいろいろありますが、当社で扱っている集成材では、縦継ぎ用としてポリ酢酸ビニルエマルション系接着剤(非ホルムアルデヒド系)を使用しています。
巾はぎ
木材を巾方向に接着することを巾はぎといいます。
集成材は上記の縦継ぎを行っていますが、この縦継ぎ部分というのは、接着強度はあまりありません。
強度は主に巾はぎの接着力によって保持されています。
したがって、基本的には所定の強度を得るためには、1枚の集成材の巾に少なくとも挽き板が3ピース(3ピッチ)あることが望ましいとされています。
現在の多くの集成材は、ピッチが約30mmですので、1枚の集成材の巾は少なくとも90mm以上あることが理想です。
集成材の接着剤は、当社で扱っている集成材では、巾はぎ用として、水性高分子イソシアネート系接着剤(非ホルムアルデヒド系)を使用しています。
積層
木材を厚み方向に重ねながら接着することを積層といいます。
一般的なカウンターやテーブルの天板は、30~40mm程度ですが、それ以上に厚くしたい場合等に積層します。
また、構造用大断面集成材では油圧シリンダプレス等で湾曲した集成材を製作することが可能です。
集成材の接着剤は、水性高分子イソシアネート系接着剤(非ホルムアルデヒド系)を使用しています。
化粧貼り
和室等のなげし、敷居、鴨居、柱等には芯材に桧や杉を薄くスライスした突き板を貼り合せ、概観上は無垢の桧や杉のように見えるようにしています。
しかしこの薄くスライスした突き板は非常に薄いので、取り扱いには十分気をつける必要があります。
集成材の接着剤は酢酸ビニルエマルション系接着剤が一般的には用いられています。
日本の集成材の特徴
日本における集成材といえば、造作用集成材と化粧貼り造作用集成材が多く用いられています。
最近ではこれらにくわえて、木造住宅等に構造用集成材が多く使われるようになりました。
化粧貼り造作用集成材において、表面に貼り付ける薄板は、スギ、ヒノキ、スプルース等の針葉樹が主ですが、これは日本における和室文化の影響があります。
和室における柱等の造作材は、木目がきれいで、無節であることが要求され、特に高度成長期における住宅建設において大量、且つ安価な造作材を供給するために製造技術等が発展しました。
逆に、欧米においては、化粧貼り集成材というのはほとんど見られず、集成材といえば、多くは構造用大断面集成材となります。
欧米においては、体育館、ショッピングセンター等の大型商業施設においてはこの構造用大断面集成材が多く使用されています。
日本においては、大型の建築物はほとんど鉄筋コンクリートが使用されますが、日本と欧米では基本的な強度に関する考え方が異なるようです。
まとめ
集成材は木工作品作りには欠かすことの出来ない素晴らしい素材といえます。
また木材の利用に無限の可能性を与えたともいえます。
あなたもぜひ集成材を使って素敵な木工作品作りに挑戦してみてください。
木工DIYに必要な集成材、無垢材につきましては、下記にまとめてありますのでこちらもチェックしてみてください。

木工に必要な道具、工具はこちらから

木材の接合に使う接合金物はこちらから



コメント