家具や木工品を製作する場合は、一般的な作業の進め方があります。
この通りでないといけないということではありませんが、木工作品を製作するにあたっての一応の目安とされると良いかと思います。
また、ざっと目を通していただいて、作品作りに必要な材料、工具、道具等を確認していただくのも良いかと思います。
素敵な木工作品作りのお役に立てればと思います。
りょう(DIYアドバイザー)
設計
製作するものが決まったらまず作るものの設計を行い、設計図に書き起こします。
正確な寸法の入った設計図を書く前に、まずは、あなたが希望する作品の大まかなイメージのラフスケッチを手書きで紙に書いてみましょう。
広告の裏やいらなくなった紙の裏などを利用して、満足できる形が出来るまでたくさん書いてみましょう。
形が決まったら、具体的な寸法の入った設計図を書きますが、そのときに考えておきたい5つのポイントがあります。
① 強度 ② 使いやすさ ③ デザイン ④ 製作方法 ⑤ 材料 の5つです。
強度
作品が使用上において十分な強度を持っているかを考える必要があります。
強度については、製作方法や作品の構造にも関係しますが、あまり難しく考えても分かりませんので、実際に使われているあなたの身の回りのものを参考に考えていただければ良いと思います。
使いやすさ
これについてもあなたの身の回りのものを参考にして考えてみましょう。
あなたの身の回りにあるものは、使いやすさ等について既に十分考えられて作られていますので、寸法などについて迷ったらぜひ参考にしてください。
それからあなたにとって最も使いやすいと思われる形にアレンジしていくのが良いでしょう。
デザイン
あなたの思いや考えが一番反映できるところですので、上記の「強度」「使いやすさ」の範囲内で自由に考えてみましょう。
製作方法
木工品の製作には多くの製作方法があります。
本職の家具職人の方は、クギや金物を使わず木材の組み手だけで作品を仕上げられますが、当然ながら高度の技術とそれなりの道具、工具が必要になります。
あなたの技量と使う道具に合わせた製作方法を選びましょう。
材料
木工作品に使われる材料の主なものは以下の6種類があります。
① 無垢(ムク)材、② 集成材、③ 2×4材、④ 横はぎ材、⑤ 合板、⑥ ボード類。
それぞれに特徴がありますので、それらの特徴をよく理解して製作品に合った材料を選びましょう。
それぞれの材料については、次の項目で詳しく書いています。
上記の5つのポイントが決まったら正確な寸法の入った設計図を書きます。
設計図といえば、以前は方眼紙などに書いていました。
全く問題はありませんが、現在はパソコンを使った大変便利なソフトがありますのでご紹介したいと思います。
JW-CAD(JWW)
お使いの方も多いと思いますが、建築関係の図面を製作するのに開発されたソフトで、家具や木製品の設計図を書くには十分すぎる機能があります。
無料で使用することができます。
簡単なテーブルの図面をJW-CADで書いたものが下の図面です。
初めての方の場合は、慣れるまでにちょっと時間がかかりますが、一度使い慣れてしまうと、手書きより早く書けますので手書きにはもどれません。
下記よりダウンロードすることができます。
SketchUp
SketchUpは簡単に3Dが書ける、Googleが提供しているソフトです。
SketchUpには有料版のSketchUp Proと無料版のSketchUp Makeがあります。
無料版で十分です。
上のJW-CADで書いたテーブル図面をSketchUpで3Dで書いたものを上から見た場合と下から見た場合の図です。
直感的な感覚で3Dが描けますし、描いた3Dを自由に回転させることができ、あらゆる方向からの3D画像を見ることが出来ます。
下記よりダウンロードできます。

上記のページに中の「モデリングを開始」をクリックし、手続きを行います。
なお、以前に「Google」が提供していた時は商業利用も出来ましたが、現在の「Trimble」の場合は、無料版では商業利用は出来ませんのでご注意ください。
どちらのソフトも使用については難しくはありませんのでぜひ使ってみてください。
通常はJW-CADを使って図面を書きますが、平面図ですとなかなか相手にイメージが伝わらない場合があります。
そんな時に大変役に立つのがSketchUpの3D画像です。
JW-CADもSketchUpも解説本が多く出版されていますので、早く使えるようになるには解説本を読まれることをおすすめします。
JW-CAD、SketchUp につきましては下記でも詳しく解説していますのでご覧ください。
私が実際に読んで学んだ解説本もご紹介していますので、ご参考にしてください。

材料選び
木工製品を作るための木質系の材料の主なものとしては以下のような材料があります。
① 無垢(ムク)板
② 集成材
③ 2×4材
④ 横はぎ材
⑤ 合板
⑥ ボード類
無垢(ムク)板
無垢(ムク)板とは、貼り合わせたり継いだりしていない1枚ものの板材です。
木材の本来の美しさや良さを感じられる点で、材料としては一番良いのですが、板材の見極めや取り扱いには気をつける必要があります。
木製品の製作に使用する材料の条件として、材料が乾燥していることが必要になります。
乾燥していない材料を使用しますと、後になって乾燥にともなって、変形や割れが生じる場合があります。
上記の①から⑥までの材料の内、②から⑥については乾燥されたものが販売されていますので、特に気をつける必要はありません。
無垢板については、販売店によって生材に近いものから乾燥材までさまざまな無垢板が販売されています。
購入にあたっては購入先に、乾燥しているか否かを、必ず確認するようにしましょう。
乾燥が不十分の場合は、別の材料を探すか、十分に乾燥させてから加工に着手してください。
また、無垢板の板巾についてはある程度の限界があり、無制限に広い板があるわけではありません。
通常比較的入手可能な板巾は、樹種によっても変わりますが、30cm前後と考えておいたほうが良いでしょう。
したがって、たとえばダイニングテーブルを作成するための天板として、板巾90cm、長さ180cmの大きさのものが必要の場合、無垢の1枚板は、無い事はないです。
しかし限られたものとなり、また有ったとしても大変高価なものになります。
このような板巾の広いものが必要の場合は、次に書いています集成材や横はぎ材が良いでしょう。
集成材
集成材にはその使用目的によって次の5つの種類があります。
・造作用集成材
・化粧貼り造作用集成材
・構造用集成材
・化粧貼り構造用集成材
・構造用大断面集成材
以上の5種類あります。
木工用製品の製作に使用するのは、造作用集成材になります。
ホームセンターなどで販売されている集成材がこれにあたります。
化粧貼り造作用集成材は、芯材の集成材の表面に薄い無垢板を貼り付けたものです。
薄い板は突き板と呼ばれ厚みは1mm以下の非常に薄いものですので、一般の木工の材料には使いにくいものになります。
主にはヒノキやスギの突き板を貼って、住宅の化粧柱、敷居、鴨居などに使われています。
構造用集成材は構造用として住宅の骨組みなどに使われています。
化粧貼り構造用集成材は上記の構造用集成材の表面に突き板を貼ったものです。
構造用大断面集成材は構造用として建築物の骨組みに使われる集成材で、ホールや体育館の骨組み、橋梁の骨組みなどに使われています。
島根県の出雲にある出雲ドームの骨組みに使用されています。
木工用製品の製作に使用する造作用集成材は一般には積層材とも呼ばれていますが、巾が約3cm前後の無垢の角材を巾方向に貼りあわせています。
また長さ方向もランダムに継がれています。
したがって、テーブルの天板などの板巾の広い材料が必要の場合の最適の材料となります。
逆に集成材は小さなものの材料には不向きということになります。
2×4材
2×4材は本来は枠組み壁工法(2×4工法)の木造住宅の骨組みとなる構造材の材料として北米から輸入されている無垢材です。
この2×4材は乾燥材であること、表面がプレーナー加工されていること、面取りがされていること等の理由で、扱いやすいため木工や日曜大工の材料として使われています。
2×4材は寸法が規格化されており、厚みと巾については全部で7種類あります。
長さの種類は8フィート(2.4m)から20フィート(6.1m)くらいまであります。
ホームセンターなどでは、上記の種類の内の一部について販売されているようです。
2×4材の樹種は、以前はいろいろありましたが、現在はSPFと呼ばれているものがメインとなっています。
SPFというのは一つの樹種の名前ではなく、いろいろな樹種の木が混ざっており、その中の主な樹種となっているスプルース、パイン、ファーの頭文字で表しています。
したがって少なくとも3種類以上の木の種類が混ざっていますが、全て針葉樹の木で、広葉樹は含まれていません。
横はぎ材
横はぎ材というのは、無垢板を巾方向のみを貼り合わせて、板巾の広い1枚の板にしたものです。
長さ方向の繋ぎはありません。
貼りあわされているそれぞれ1枚の板の板巾は決められた巾ではなく、いろいろな巾(5cm~30cm程度)の板となっています。
したがって貼りあわされた大きな1枚の板は、無垢の1枚板に近い雰囲気となっています。
また、より無垢の1枚板に見せるために、巾の両側や片側に耳(丸太の皮の部分)が付いているものが既製品として輸入されています。
横はぎ材は集成材のように、細かく貼りあわされてはいませんので、木の木目もきれいに見えます。
ダイニングテーブル、デスク、カウンターなどの天板として最適の材料といえます。
合板
合板は厚みが薄くて大きな板ですが、強度もありますので広い面積の材料が必要な部分には大変便利な材料のひとつです。
厚みの種類は2mmくらいから30mmくらいまであります。
巾と長さの種類は、
910mm×1820mm、
1000mm×2000mm、
1220mm×2430mm
の3種類が主なものとなります。
樹種は南洋のラワン材が多いですが、米松などの針葉樹を使った合板もあります。
合板が薄い割には強い理由は、スライスされた薄い板を木の繊維が直交するように互い違いに複数枚貼り合わされて作られているからです。
またもう一つの特徴として、交互に貼りあわされているため、環境(温度、湿度)の変化による膨張、収縮がなく、非常に寸法安定性の高い材料です。
合板は複数の単板が貼りあわされていますが、枚数は奇数枚と決まっており、6mmくらいまでは3枚、9~12mmは5枚、15mm以上は7枚かそれ以上となっています。
なぜ奇数枚であるかの理由については、
① 木材の物理的学術理論で、木材の性質を消すために奇数枚となっている。
② 生産上の経済的な効率向上のため。
③ 表と裏の木材の繊維方向を一致させるため。
の3つであると言われています。
ボード類
ボードとは、木材を細かくしたものを原材料として、接着剤と一緒に熱圧成形して作られた板のことです。
代表的なボードには、ファイバーボードとパーティクルボードがあります。
ファイバーボードは木材の繊維を原料として作られた板で、
・軟質繊維板(インシュレーションボード)、
・中質繊維板(セミハードボード)、
・硬質繊維板(ハードボード)
の3種類があります。
パーティクルボードは木材を小さな小片にしたものを原料として作られた板で、小片の大きさや並べ方などによって、単層、3層、多層の種類があります。
そのほかには以下のようなボードがあります。
① Oriented Strand Board(OSB)
ストランド(比較的大きな細長い削片)を一方向に配列させたボード。
② Wafer Board(WB)
ウェファー(比較的大きな正方形の削片)を構成要素とするボード。
③ Medium Density Fiberboard(MDF)
中質繊維板(セミハードボード)。
④ Laminated Veneer Lumber(LVL)
単板を積層して製造されたランバー。
⑤ Parallel Strand Lumber(PSL)
ストランドを平行に並べ製造したランバー。
⑥ Oriented Strand Lumber(OSL)
ストランドを一方向に配列して作られたランバー。
ボードの特徴としては、板の方向による強度差が少なく、合板に比べて大面積の板が得られます。
また、それぞれのボードによる原料や製造方法の違いによって特有の性質があり、特殊な用途などにも使われています。
木質材料につきましては下記ページにも掲載しておりますのでご参考にしてください。
◎木工・家具製作に使用する木質材料6種類と特徴。

木取り
木取りとは、丸太や板材から必要な部材をどのように取るのかを決めること、またその作業のことをいいます。
丸太からの木取りについては、それなりの設備と大きな製材機械が必要になってきます
一般の私達にとっては無理ですので、丸太からの木取りについては専門の製材所にお願いします。
私達が出来るのは、少なくとも板材になった状態からの木取りになります。
この板材の性質については、丸太のどの部分からどのように木取りされたものかによって大きく違ってきます。
丸太からの板材の木取りには大きく分けて、柾目取りと板目取りの2通りの方法があります。
柾目取りによって製材された板を柾目材、板目取りによって製材された板を板目材といいます。
これを丸太の図で書いたのが下の図となります。
板の巾の方向が丸太の中心に向かうような木取りの方法を柾目取りといいます。
板の巾の方向が丸太の中心に対して直角方向(丸太の年輪に対して接線方向)になるような木取りの方法を板目取りといいます。
木取りされた板材の表面に現れる木目の模様は柾目取りの場合と板目取りの場合とで以下の図のような木目になります。
柾目材の板と板目材の板の性質の大きな違いは、簡単に言えば、反りにくいか、反りやすいかの違いです。
柾目材の板が反りにくく、板目材の板が反りやすくなります。
反りについては、下記で詳しくご紹介していますのでご覧ください。

なお木取りをする板材の寸法ですが、次に書いています木づくりの段階でプレーナー加工をします。
したがって、仕上がりの寸法より、厚み、巾については5mm前後、長さについては、100mmくらい余裕をみて木取りをします。
木づくり
木づくりとは、木取りした材料を仕上がりの寸法に切削(プレーナー)加工することをいいます。
これについては、手加工は難しいので専用の機械で加工するしかありませんが、お持ちでない場合は、材料の購入先に木取りも含めてお願いするのが良いでしょう。
少し費用はかかると思いますが、早くて仕上がりもきれいに出来上がります。
木づくりは、むら取り工程と寸法決め工程の2工程で行います。
板材は厳密には、真っ平らではなく、反り、曲がり、ねじれ等の変形があります。
真っ直ぐに仕上げるためには4面の内の基準になる2面を、手押しかんな盤という機械を使って加工し、変形を取り除きます。
これをムラ取りといいます。
そして次に自動かんな盤という機械で残りの2面を削り、厚みと巾を決めます。
これを寸法決めといいます。
ムラ取りをしないで、いきなり自動かんな盤で加工すると変形したまま加工されてしまいますので気をつける必要があります。
墨付け
木づくりされた部材に、部材の位置、カット位置、仕口加工の位置等が分かるように、部材に印をつけることを墨付けと言います。
一般的には、さしがねを使って鉛筆で印を付けますが、仕口加工や精度が必要なところには、しらがき、けびき、といった専用の道具を使って印を付けます。
カット、仕口加工
墨付けの印に基づいて、部材のカット、及び仕口の加工を行います。
木工所や家具工場等では大型の専用機械を使ってカットや仕口の加工を行いますが、一般の方はなかなか大型の専用機械というわけにはいきませんので、
小型で卓上用の電動工具や丸ノコ、ルーター、トリマー、ジグソー、ドライバードリルなどの電動工具を使いましょう。
電動工具には、モーターの出力や作業能力などによって多くの種類がありますので、加工する材料の大きさや使用する頻度に合わせて選ぶようにしましょう。
面取り加工も出来るところはこの段階で行いましょう。
また技術的に難しい面もありますが、ノコギリ、カンナ、ノミといった大工道具を使ってみるのも面白いでしょう。
仕上げ
組み立てを行う前に、木づくり、カット、仕口加工の工程で生じたキズ、逆目、よごれ、墨線等を除いておきます。
仕上げに使う道具としては、カンナ、オービタルサンダーやサンドペーパーなどを使います。
特に組み立て後には道具が使えない部分や手が届きにくい部分などは入念に仕上げておきます。
組み立て
組み立ての作業に入る前に、組み立ての手順を考えておきます。
必要な電動工具(ドライバードリル)、大工道具(カナヅチ、ドライバー)、接着剤(木工用ボンド等)、接合金物(接合金物、クギ、木ネジ)等を準備しておきましょう。
なお、はみ出した木工用ボンドは、乾く前に出来るだけきれいに拭き取っておくことが必要です。
再仕上げ
組み立て後には接合部などに細かなメチ(段差)が生じますので、カンナやサンダー等で研磨をして、段差などを取り除いてきれいに仕上げます。
また、はみ出て残ってしまったボンドもカンナで削るか、サンダーで磨いて取り除いておきます。
ボンドが表面に残っているときれいな塗装が出来ませんので気をつけましょう。
塗装
木工用の塗料には多くの種類が有り、一般の方が迷うところでもあります。
耐久性、木工製品を使用する場所(屋内か屋外か)、塗装方法、仕上がりの程度などをよく理解し、適切な塗料を選びましょう。
また塗料以外に、薄め液が必要な塗料がありますので確認しておきましょう。
また、塗料や塗装方法に合わせた塗装道具も準備する必要があります。
なお、塗装の前にもう一度、キズ、汚れ、はみ出た接着剤等がないか確認しましょう。
塗料の種類と塗装方法については下記で詳しくご紹介していますのでご覧ください。

オイル塗装の手順、方法につきましてはこちらをご覧ください。

金具取り付け
最後に、取っ手、つまみ等の金具を取り付けます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
木工製品を作るうえでの一般的な手順について大まかな内容を書いてみました。
製作される作品によっては必ずしもこの通りにいかないものもありますが、ご参考にしてください。
なお、木工DIYには、木工用の材料と道具、工具等が必要になってきます。
下記ページに詳しくご紹介しておりますのでぜひご参考にして下さい。


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