ノギスは、本尺の目盛りと副尺の目盛を見ることによって、1mm以下の精度で数値を読み取れるようになっています。
これは副尺の目盛の付け方にポイントがあります。
ノギスの目盛の付け方と原理(仕組み)について解説します。
りょう(DIYアドバイザー)
ノギスの目盛の付け方
ノギスには、本尺と副尺の二つの目盛があります。
下記の写真は私が持っているノギスの目盛の部分の写真です。

上の目盛が本尺、下側の目盛が副尺です。
副尺が付いている部分を左右にスライドさせて寸法を測ります。
本尺の目盛は、通常の物差しと同じく、1mm間隔で刻まれています。
一般的に多いのは、15cmくらいまで刻まれています。
写真のノギスの副尺は20個の目盛が付けられています。
その他には、10個の目盛りが付いているものや50個の目盛りが付いているものもあります。
一般的なノギスの副尺の目盛の付け方は、上記の3種類です。
10個の目盛が付いているノギスの精度(最小読取値)は、1mmの1/10で、0.1mmの精度まで読み取れます。
20個の目盛が付いているノギスの精度(最小読取値)は、1mmの1/20で、0.05mmの精度まで読み取れます。
50個の目盛が付いているノギスの精度(最小読取値)は、1mmの1/50で、0.02mmの精度まで読み取れます。
副尺の目盛の読み方
副尺の目盛りが10個のものは、1つの目盛りが1mmの1/10となります。
したがって最初の目盛りは、0.1mm、2番目の目盛りは、0.2mm、3番目の目盛りは、0.3mmとなります。
以下同様に、最後の目盛りが1mmとなっています。
副尺の目盛りが20個のものは、1つの目盛りが1mmの1/20となります。
したがって最初の目盛りは、0.05mm、2番目の目盛りは、0.10mm、3番目の目盛りは、0.15mmとなります。
以下同様に、最後の目盛りが1mmとなっています。
ノギスの原理(仕組み)
ノギスを使って寸法を測る場合は、副尺の一番左の0の位置でmm単位を読み取ります。
次に、本尺と副尺の目盛りが一致している副尺の目盛りが1mm以下の数値となります。
なぜそうなるのか、その原理(仕組み)について解説します。
そのポイントは、副尺の目盛りの付け方にあります。
一般的なノギスの副尺の目盛りの付け方には、以下の6種類あります。
① 9mmを10等分したもの
② 19mmを10等分したもの
③ 29mmを10等分したもの
④ 19mmを20等分したもの
⑤ 39mmを20等分したもの
⑥ 49mmを50等分したもの
①、②、③ が 最小読取値が0.1mm。
④、⑤ が 最小読取値が0.05mm。
⑥ は 最小読取値が0.02mm となっています。
したがって、① の9mmを10等分した副尺の目盛りは、9/10=0.9mm刻みで目盛りが付けられています。
② の19mmを10等分した副尺の目盛りは、19/10=1.9mm刻みで目盛りが付けられています。
③ の29mmを10等分した副尺の目盛りは、29/10=2.9mm刻みで目盛りが付けられています。
④ の19mmを20等分した副尺の目盛りは、19/20=0.95mm刻みで目盛りが付けられています。
⑤ の39mmを20等分した副尺の目盛りは、39/20=1.95mm刻みで目盛りが付けられています。
⑥ の49mmを50等分した副尺の目盛りは、49/50=0.98mm刻みで目盛りが付けられています。
上記の6種類の見分け方は、副尺を閉じた状態のときに副尺の最後の目盛が本尺のどの数値と一致しているかを見れば分かります。

上記のノギスは、副尺の20個の目盛の最後の20番目の目盛(写真では0)の目盛が本尺の39mmの目盛と一致しています。
したがって上記の副尺の目盛の付け方は、⑤ の39mmを20等分した目盛の付け方となっています。

上記のノギスの場合は、副尺の20個の目盛の最後の20番目の目盛(写真では10)の目盛が本尺の19mmの目盛と一致しています。
したがって上記の副尺の目盛の付け方は、④ の19mmを20等分した目盛の付け方となっています。
この様に、副尺を閉じた状態のときに、副尺の最後の目盛と一致している本尺の目盛を見ることによって、どのタイプのノギスであるか分かります。
ノギスがお手元にあれば見てみてください。
上記の6種類の副尺の目盛りは、付け方が違うだけで原理(仕組み)は全て同じです。
④ の19mmを20等分したノギスで原理(仕組み)を解説します。
着目していただきたいのは、本尺の目盛りと副尺の目盛りのズレの寸法です。
本尺は、1mm間隔で、副尺は、0.95mm間隔で刻まれています。
したがって、最初の1番目の目盛りの寸法のズレは、1-0.95=0.05mmとなっています。
2番目の目盛りの寸法のズレは、2-1.9=0.1mmとなっています。
3番目の目盛りの寸法のズレは、3-2.85=0.15mmとなっています。

上記の図は、最初の目盛の部分を書いたものです。
本尺は1mm間隔、副尺は0.95mm間隔で刻まれていますので、同じ番目のズレの寸法は、
0.05mm、0.10mm、0.15mm、0.20mm、0.25mm、... となっています。
ズレの寸法は、0.05mmづつ増えていき、最後の20番目のズレの数値は、ちょうど1.00mmとなります。
すなわちズレの寸法の数値が、副尺の目盛りの読み取り値と同じになっています。
言い換えれば、副尺の目盛りの読み取り値が、本尺と副尺のズレの寸法の数値ということになります。
たとえば、
副尺の0.4の読み取り値のズレは、0.4mm。
副尺の0.75の読み取り値のズレは、0.75mm。
副尺の0.85の読み取り値のズレは、0.85mm。
になります。
では次に、副尺を閉じた状態から0.05mm右にスライドさせたとします。
そうすると、本尺の最初の1番目の目盛りと副尺の最初の1番目の目盛りが一致します。
本尺の1番目と副尺の1番目の寸法のズレが0.05mmですので、当然そうなります。
副尺の読み取り値も0.05mmとなります。
次に、同じく副尺を閉じた状態から0.1mm右にスライドさせたとします。
そうすると、本尺の2番目の目盛りと副尺の2番目の目盛りが一致します。
本尺の2番目と副尺の2番目の寸法のズレが0.1mmですのでそうなります。
副尺の読み取り値も0.1mmとなります。
同様に、0.45mm副尺をスライドさせれば、本尺と副尺の9番目の目盛りが一致し、副尺の読み取り値は0.45mmとなります。
0.7mm副尺をスライドさせれば、14番目の目盛りが一致し、副尺の読み取り値は0.7mmとなります。
すなわち 副尺を右にスライドさせた寸法と副尺の読み取りの数値が一致します。
右にスライドさせるということは、スライドさせた寸法と同じ厚みのものを挟んだことと同じになります。
0.35mmのものを挟めば、0.35mmスライドして副尺の0.35の目盛りと一致します。
0.7mmのものを挟めば、0.7mmスライドして副尺の0.7の目盛りと一致します。
0.85mmのものを挟めば、0.85mmスライドして副尺の0.85の目盛りと一致します。
すなわち、本尺と副尺の目盛りが一致した副尺の読み取り値が挟んだものの寸法になります。
これが、ノギスの原理(仕組み)です。




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