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木材に含まれる水分と変形。

 2016/08/20 DIYの材料、用品
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無垢の木を使って何か木工品を製作する時、一番気をつけておかないいけないのが、

木材には水分が含まれているという事です。

 

乾燥材と言われている木材でも、含水率は0ではなく、いくらかの水分が含まれており、

また、含水率を一定にしておくことは難しく、木材の周囲の湿度の変化によって、

木材自身が水分を吸ったり、吐いたりします。

それによって、木材は膨張、収縮を繰り返します。

 

特に巾の広い天板はこの影響を受けやすく、製作のときはそれなりの工夫が

必要になります。

木材に含まれている水分と、木材の乾燥による変形についてご紹介します。

 
この記事を書いた人
山根良治 DIYアドバイザー

 

乾燥による木材の変形

木材中に含まれる水分は、その状態によって、自由水と結合水とに分けられます。

自由水は細胞間隙などに含まれる水で移動が自由な水分です。

結合水は細胞壁内に含まれている水分で、ミセルの間隙に吸着しています。

 

生の木材は、乾燥するにつれて、まず自由水が移動して蒸発し、自由水がなくなると

細胞壁中の結合水が蒸発をはじめます。

この移り変わりのところを繊維飽和点とよび、この点の含水率は約30%ぐらいです。

含水率が30%以下になると物理的、機械的性質に大きな影響を及ぼします。

 

木材は繊維飽和点以下の含水率(約30%)になると、木材の細胞壁のミセルの間隙に

水分が入ったり出たりすることによって、全体が膨潤、収縮の現象を起します。

含水率が約30%以下になると膨潤、収縮を起すことを書きましたが、

ではどの様な変形が起きるのでしょうか。

 

木材は細胞配列によって、

接線方向(板目)、放射方向(柾目)、繊維方向(長さ)の収縮量が違い、

その比は10:5:1となっています。

 

したがって、木材が乾燥すると、木材の丸太からの製材場所によって、

細胞配列の収縮の差が原因で、次の図のように変形します。

このような変形を極力さける為に、木材は乾燥させて使用しますが、

また乾燥させることによって強度を増し、加工性も良くなります。

乾燥には、大気中で自然に乾燥(天然乾燥)された木材(気乾材、含水率約15%)と、

さらに人工的に乾燥(人工乾燥)された人乾材が有ります。

 

国内産、及び中国産広葉樹には気乾材のものも多く有ります。

人工乾燥された米材広葉樹の場合は、含水率が8%前後あるのものもあり、

家具製作にあたり、製作時の季節によっては少し含水率を高めたほうが

良い木材もあります。

製作前に一度含水率を計ってみましょう。

 

反り防止の加工方法については下記の記事を参考にしてください。

◎木の板の反りと反り防止の方法。
https://kagu-diy.com/diy/mokkou/sori

 

生材と乾燥材

ご存知の様に 木材は植物ですので、伐採された直後や製材された直後の段階では

木材の中には大量の水分が含まれています。

この段階の木材を生材、又はグリーン材と言います。

この水分の木材中での性質は一律ではなく、2種類の水分があります。

 

ひとつは、自由水とよばれる水で、もう一つは結合水と呼ばれる水です。

生材をそのまま放置していますと、徐々に水分が失われていきますが、

まず最初に自由水から無くなっていき、自由水がなくなると結合水が失われていきます。

 

自由水が0になった段階を繊維飽和点と呼びます。

この段階での木材中の含水率は、ほぼ30%前後となります。

その後結合水が失われていき、その後木材が置かれている空気中の湿度に応じた

一定の含水率となります。

 

大気中の湿度は、気候、気温等によって常に変化しますので、

そのときの木材の含水率も変化します。

この状態のときの木材を気乾材といいます。

 

木材を乾燥機等の機械装置に入れ、強制的に乾燥させていくと、

やがては含水率は0%となります。

この段階の木材を全乾材といいます。

 

木の吸放湿作用

よく、「木は呼吸する」と言われます。

これは、木が湿気を吸ったり吐いたりする調湿作用のことで、呼吸とは違います。

 

例えば、厚さ4ミリの1m2のヒノキ板が含むことができる水蒸気の量は、

8畳間程度の部屋が25℃のときに含む量と同じくらいだそうです。

では、木の調湿作用が働くためには、どのくらいの厚みが必要なのでしょうか。

 

木がどの深さまで吸放湿しているかを調べた実験があります。

それによると、1日の湿度変動で水分が出入りするのは、表面から3ミリ程度

の深さまでということが分かったそうです。

 

実験は、24時間周期で、一定時間ごとに取り出してスライスして測定した結果、

変化するのは表面付近だけで、中心に近いところではほとんど変わらなかったそうです。

この結果から、木の調湿作用を十分引き出すのに必要な木の厚さが分かります。

 

一般的な単層フローリングは15ミリですから、1ヶ月周期の調湿に有効だと言えます。

また、1年周期の場合は57.3ミリですから、12cm角の柱がちょうど

作用しているわけです。

 

このような調湿効果を生かすには、表面の仕上げ方にも注意が必要です。

集成材、合板、MDFのような木質ボードでも効果に差がありませんが、

湿気を通しにくい塗装をしたり、フィルムで覆ってしまったりしては効果がありません。

浸透性の塗料がおすすめです。

出典:ナイスビジネスレポート
(参考:神奈川県木材業協同組合連合会 
木材再認識研修会 資料)

まとめ

木材が、その他の金属やガラス、プラスチックなどの材料と根本的に異なっている点は、

木材が且つては自然の植物であり、そのままの状態で使用している点にあります。

したがって、自然の山に生えていた時の性質をそのまま受け継いでいます。

 

特に重要な点は、木材には水分が含まれているということで、

山に生えている時から比べれば少なくなっていきますが、無くなることはありません。

私たちが木材を使って木工製品を作る際は、木材の中にどれくらいの水分が

残っているかを確認しておく必要があります。

 

現在ネットショップ等で販売されている集成材や合板等のように、

無垢材から加工されているものについては、

人工的に乾燥された材料を使用しているので問題はありません。

また無垢の木材についても十分に水分管理がなされていますので、

使用する際は含水率を確認されるのが良いでしょう。

 

下記に素晴らしい木工用木材を扱っておられるネットショップを集めてみましたので、

木工製品を作られる祭の材料選びの参考にしてください。

 

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