レンズ交換式デジタルカメラのレンズには多くの種類があり、レンズの種類を変えて写すことによって同じ被写体であっても異なった印象の写真を写すことが出来ます。
レンズは、撮影者の撮影意図をいかに忠実に表現することが出来るか否かを左右する重要な要素となります。
広角レンズ、望遠レンズ、マクロレンズなど、いろいろなレンズを交換して撮影することによって、撮影者の撮影表現は無限に広がります。
ここでは、レンズ交換式デジタルカメラのレンズの種類と特徴についてご紹介します。
レンズの種類と特徴
レンズの種類の分け方として、1つは画角、又は焦点距離による分け方があります。
画角と焦点距離は関連性がありますので、現在は焦点距離の違いによって分ける場合が多くなっています。
レンズの焦点距離の違いによって、標準レンズ、広角レンズ、望遠レンズの3種類があります。
もう一つの分け方として、焦点距離が1つに決まっているか変更出来るかによって、単焦点レンズとズームレンズの2種類あります。
その他の特殊なレンズとして、マクロレンズ、大口径レンズ、アオリレンズ等があります。
なお、一般的に画角や焦点距離を言う場合は、35mmフィルム換算の場合を指しますので、以降の解説も同様の場合での数値で解説しています。
単焦点レンズとズームレンズ
焦点距離が一つに決まっているレンズを単焦点レンズと言い、ズームリングを回すことによって、ピント位置を変えることなく焦点距離を変えることが出来るレンズをズームレンズと言います。
以前のフィルム式カメラを使用していた時期では単焦点レンズが主流となっていました。
さまざまな焦点距離を持つレンズを交換して撮影していましたが、デジタルカメラがほとんどとなった現在では、ズームレンズが主力となっています。
また最近の製造技術の向上により、一つのレンズによって広角から望遠までの広い範囲に焦点距離を変えることが可能となっており、ズーム領域は格段に広くなっています。
標準レンズ
レンズの焦点距離の違いによって、標準レンズ、広角レンズ、望遠レンズの3種類があります。
標準レンズの基準については諸説ありますが、一般的には標準レンズは、焦点距離が50mm前後のものをさしています。
それより短いものを広角レンズ、長いものを望遠レンズと分けています。
また一般的に標準レンズは、対角線画角と焦点距離が同じ程度のものをさしますが、焦点距離が50mmの対角線画角は、約47度となります。
また私たちが普段肉眼で見ている景色と近いので標準レンズと言われています。
したがって、見たままの風景などが多い一般的なスナップ撮影では標準レンズを使うことが多くなっています。
また、標準レンズの中にも単焦点レンズとズームレンズがあり、焦点距離が50mmを挟んでその前後にズーム出来るレンズを標準ズームレンズと呼んでいます。
例えば、焦点距離が24~70mmや24~105mmなどのような範囲にズーム出来るレンズがこれに相当します。
広角レンズ
焦点距離が50mmより短い単焦点レンズを広角レンズといい、50mmより短い範囲で
ズーム出来るレンズを広角ズームレンズと言います。
さらに焦点距離が20mmくらいより短いものを超広角レンズや超広角ズームレンズと言います。
20mmよりさらに焦点距離が短くなると、魚眼レンズと呼ばれるようなレンズもあります。
広角レンズは、画角が広くなりますので広い範囲を写し込むことが出来ますので、広大な山の風景などをダイナミックに写したい場合などに向いたレンズと言えます。
また広角レンズは、被写界深度が深い特徴があります。
したがって近くの被写体から遠くのものまでをクリアーに写すことができますので、パンフォーカス撮影には広角レンズが使用されます。
広角レンズは、近くの被写体はより近くにあるように、遠くの被写体はより遠くにあるように写り込む性質があります。
したがって遠近感が強調された(パースペクティブ)効果があります。
望遠レンズ
一般的に50mmより長い焦点距離を持つレンズを望遠レンズ、50mmより長い範囲でズームするレンズを望遠ズームレンズと言います。
実質的にはおよそ70から80mm以上の焦点距離を持っているレンズが望遠レンズとして販売されています。
望遠ズームレンズの場合ですと、70~200mm、70~300mm、100~300mmなどが該当します。
焦点距離が300mmを超えるようなレンズは、超望遠レンズと呼ばれています。
中には、ズーム領域が28~300mmの焦点距離を持つレンズもありますが、このようなレンズを高倍率ズームレンズと呼んでいます。
高倍率ズームレンズは、一つのレンズで広角から望遠までの広い範囲をカバーしており、レンズ交換が出来ないコンパクトデジタルカメラなどに多く採用されています。
望遠レンズは焦点距離が長くなるほど画角が狭くなりますので、写すことが出来る範囲も狭くなりますので、カメラの振動が画面に与える影響は大きくなります。
望遠レンズは手ぶれを起こしやすいレンズになりますので、使用する際はそれなりの対策が必要になってきます。
望遠レンズは画角が狭いレンズとなりますので、被写界深度が浅いという特徴があります。
したがってピントが合っている被写体の少しの距離の前後にある物でもぼやけて写りますので、この特徴を活かして前後をぼかして目的とする被写体を浮き上がらせて写すことが出来ます。
また、望遠レンズは遠くのものが大きく写りますので、見た目以上に距離を短く見せる圧縮効果があります。
マクロレンズ
マクロレンズは、被写体にグッと接近して小さなものも大きく写すことが出来るレンズです。
野に咲く小さな花の花びらを写したり、昆虫を大きくクローズアップして写したり、普段ではあまり見ることが無い世界を写しだすことが出来ます。
マクロレンズの焦点距離は、60~100mm前後のものが多いのですが、180mmといった焦点距離を持ったものやズーム機構を備えたマクロレンズもあります。
大口径レンズ
F値と口径との関係は以下のようになっています。

したがって開放F値の値を小さくしようとすすると、レンズの口径を大きくする必要があります。
このようなレンズを大口径レンズといいます。
・開放F値1.2、焦点距離50mm、口径約42mm
・開放F値2.8、焦点距離300mm、口径約107mm
・開放F値4、焦点距離600mm、口径150mm
ズームレンズの場合は、開放F値が 2.8 以下のレンズは口径も大きくなりますので、一般的に大口径レンズといわれています。
アオリレンズ
以下の図のように、通常の一般的なレンズの光軸はレンズの中心と撮像素子の中心を垂直に通っています。

この光軸を上下左右に平行移動したり、傾けたり出来るレンズがあります。
このようなレンズをアオリレンズ、又はシフト・チルドレンズと呼んでいます。


上記は、上下左右に光軸をシフト(平行移動)させた場合の模式図です。


上記はレンズの光軸を傾けた場合の模式図となります。
このようなアオリレンズを使用しますと次のような効果があります。
例えば、高いビルを下から見上げて写しますと、ビルの先の方に向かって先細りになるように写りますが、光軸を上にシフトして写すと先細りを抑えて写すことが出来ます。
また小さくて前後に細長いものを写す場合、手前にピントを合わせれば当然ながら奥の方はボケますが、光軸を傾けて写しますと奥のほうのボケを抑えることが可能になります。
レンズはカメラにとって大変重要なパーツですが、実はレンズの無いカメラも存在します。
それはピンホールカメラと呼ばれるもので、小学生の頃に何かの授業で作った経験をお持ちの方もおられるのではないでしょうか。
現在においてもピンホールカメラはあり、メーカーによって製造販売されています。
現在のデジタルカメラにおいては、前述のようにレンズは無くてはならないものとなっています。
レンズの役割
先ほどご紹介したピンホールカメラの発明からさらにさかのぼった16世紀の半ば頃に「カメラオブスクラ」と呼ばれるものが存在し、現在のカメラの語源と言われています。
「カメラオブスクラ」とは、ラテン語で「暗い部屋」という意味です。
暗い部屋の壁に小さな穴を開け、反対側の壁に映る外の風景の倒立像を利用して、当時の画家達が正確な風景の絵を描くのに使用したとされています。
ただし「カメラオブスクラ」は、中に人間が入って利用しますので、大きな部屋となり、移動は出来ませんので、何時も同じ風景となり、変化がありません。
そこで考えられたのがどこにでも持ち運びが出来るようなサイズに縮小することでした。
全体を小さくすれば当然光を取り入れる穴も小さくしなければいけませんでした。
現在のカメラのようなサイズにした場合の穴は、針の先ほどの大変小さな穴となります。
そのような小さな穴から入ってきた光は非常にわずかな光量となり、像が暗くなり鮮明には見ることが出来ませんでした。
そこでどうしても光の量を増やす必要があったのです。
この光の量を増やすのに最も効果的だったのがレンズだったというわけです。
したがって、レンズの最も基本的な役割は何かと言えば、「光を集めること」ということになります。
現在の一眼レフやミラーレスカメラのレンズは、フィルム式ではフィルムに、デジタルカメラでは撮像素子に光を集めます。
一つのレンズには、数枚から十数枚のレンズエレメントが使用されています。
このレンズエレメント(構成レンズ)は、鏡胴(きょうどう)と呼ばれる筒の中に非常に高度な技術によって精巧に納められています。
レンズの各部の名称
下記の写真のレンズはキヤノンの標準ズームレンズ、EF24-105mm F4L IS USMですが、このレンズを例に各部分の名称を解説します。



● 前玉(まえだま)
レンズエレメントの中で最も前(被写体側)のレンズを前玉又は1番レンズといいます。
● フォーカスモードスイッチ
AF(オートフォーカス)とMF(マニュアルフォーカス)の切り替えスイッチ。
上記のレンズもそうですが、最近のレンズはAFでピント合わせの後、フォーカスリングを動かすと自動的にMFになるようになっています。
● 手ブレ補正スイッチ
手ブレ補正機能が付いているレンズの場合、ON、OFFで切り替えます。
キヤノンの場合は、手ブレ補正機能のことを、IS(IMAGE STABILIZER)と言います。
● フォーカスリング
MF(マニュアルフォーカス)でピントを合わせる場合に使用します。
● 距離目盛
フォーカスリングと連動して動き、ピントの距離を示します。
● 焦点距離目盛
ズームレンズと連動して動き、mmで焦点距離を示しています。
● ズームリング
ズームリングを回転させてズームレンズの焦点距離を調節します。
● 後玉(あとだま)
レンズエレメントの中で最も後ろ(撮像素子側)のレンズを後玉と言います。
● 接点
レンズとカメラ本体との情報のやりとりをする為の大変大切な接点となります。
接点を汚したり、傷つけたりしますとレンズが正常に動かなくなります。
レンズの性能
レンズにはいろいろな性能がありますが、個々のレンズによって搭載されている機能には違いがあり、それによって性能にも違いがあります。
レンズの基本的な性能は、「焦点距離」と「絞り」の2つになりますが、この他にもレンズの性能を決める要素が幾つかあります。
焦点距離
焦点距離とは、1枚のレンズの場合は、無限遠から照射される平行光線がレンズに当たった場合、レンズの中心にある主点と呼ばれる位置から像がはっきりと結像した焦点までの距離となります。
カメラのレンズの場合は、複数枚のレンズエレメントによって構成されています。
この場合は複数のレンズを1枚のレンズと仮定して、主点となる位置から焦点までの距離を焦点距離としています。
複数のレンズエレメントで構成されているカメラのレンズの場合、1枚のレンズと仮定したとき、物理的に考えれば主点はレンズ間になくてはなりませんが、カメラレンズの主点は光の屈折を基に考えられる主点となります。
したがって複数枚のレンズエレメントによって屈折を変化させることによって、主点の位置を変化させ、焦点距離も変化させることが可能になってきます。
しかも屈折によってレンズ本体の全体の長さよりもはるかに長い焦点距離を持った超望遠レンズが可能になります。
1枚レンズの場合

複数枚の場合

絞 り
カメラの基本性能は、光を撮像素子に導くことですが、その役割を担っているのがレンズの絞りとシャッターになります。
現在のデジタルカメラには多くの性能がありますが、基本的にはシャッタースピードと絞りの数値の組み合わせで露出(光の量)を決定します。
したがって、レンズの絞りはカメラの性能、最終的には写真の出来上がりに大きく影響を与えます。
絞りは数枚の羽根で構成されており、羽根を動かすことによって大きく開いたり小さく閉じたりして光の量を調節します。
最も大きく開いた状態の絞りを「開放絞り」、最も閉じた状態の絞りを「最小絞り」と言います。
絞りの状態は数値で表しますが、数値の値としては開放絞りに近づくほど小さい値となり、最小絞りに近づくほど大きな値となります。
絞りはカメラに付いているダイヤル等を使って調節します。
絞り値
穴の大きさを数値化したものを「絞り値」、又は「F値」と言い、大文字の Fという単位を使って表示しています。
F2.8 、F5.6 のように表記しますが、まれに小文字の f を使って表記しているメーカーもあるようです。
一般的には、小文字の f はレンズの焦点距離を表すときの記号として使用しますので、混同しないようにする必要があります。
このF値の数値が小さいほど実際の絞りは大きく開いた状態となり、F値が大きな数値になるほど実際の絞りは小さく絞った状態となります。
下の写真は、Canon EOS 50Dの各F値における実際の絞りの穴の大きさを撮ったものですが、F値が大きい数値になるほど実際の絞りの大きさは小さくなるのが分かります。

F5.6

F8

F22
絞りに使われている絞り羽根は出来るだけ真円に近い形状になるように羽根の形状が工夫されています。
F5.6の状態では真円に近い形状になっていますが、絞っていく内に多角形になっていきます。
F22の状態では正六角形に近い形状となっています。
したがって絞り羽根の枚数は6枚であることが分かります。
レンズの絞りを最も大きく開けた状態の絞りを「開放絞り」と言い、その時の絞り値を「開放F値」と言います。
また最も絞った状態の絞りを「最小絞り」と言い、その時の絞り値を「最小F値」と言います。
レンズの絞りは、この開放F値と最小F値の間で絞り値を調整して撮影することができます。
開放F値と最小F値の数値はそれぞれのレンズによって異なっており、特に開放F値はそのレンズの性能を表すのに重要な数値となります。
開放F値は焦点距離によっても変化する場合が多いので、レンズの性能を表記する場合は、「100mm F5.6」と表記したり、1を基準にして「100mm 1:5.6」などのように、焦点距離と開放F値を併記するのが一般的です。
下の写真は、EOS 50D の標準ズームレンズの場合です。

この場合は、17mmから85mmのズーム領域において、開放F値は4から5.6の間で変化することを表しています。
絞り値は、開放F値から最小F値まで連続的に変化させることができますが、実際の撮影においては、よく使われる代表的なF値というのがあります。
下がその代表的なF値となります。
1 1.4 2 2.8 4 5.6 8 11 16 22 32 の11個となります。
下の写真は以前使っていたフィルム式カメラですが、Canon A-1 の標準レンズの上面ですが、一番下の数値が絞り値となります。
以前のフィルム式カメラでは、このようにレンズに付いている絞りリングを回して絞り値を設定していました。

このレンズの開放F値は1.4、最小F値は22となっていますので、1と32を除いた代表的なF値が刻まれています。
上記の1から32までの代表的なF値の数値は規則性のないバラバラな不規則な数値に見えますが、ある一定の規則的な数値となっています。
その解説は次の「口径比」の解説の後に述べたいと思います。
口径比
レンズの有効口径を焦点距離で割った値を口径比といいます。
この口径比の逆数をF値(絞り値)と呼び、レンズの明るさを表すのに使っています。

仮に焦点距離が50mm、有効口径が12.5mmの場合は、50/12.5=4、F値は4となります。
円の面積を考えた場合、円の直径が1/√2になると円の面積は半分になります。
レンズの場合はレンズの面積が半分になると光の入ってくる量も半分となります。
したがってF値が√2倍になるとレンズの明るさは半分となります。
絞り値のところで解説したよく使われる代表的なF値を見ていただくと分かりますが、左の数値に√2を掛けた値が右の数値となっています。
すなわち、F1の半分の光量がF1.4、F1.4の半分の光量がF2、その半分がF2.8、・・・・。
1から32までのよく使われる代表的なF値は、レンズに入ってくる光の量が半分ずつ少なくなっていくように割り振られた数値になっています。
上記の1から32までのよく使われる代表的なF値は、シャッタースピードの数値とともに、カメラの露出を決める上で重要な数値となります。
画角
レンズが写すことが出来る範囲の角度を画角といいます。
したがって当然ながら画角は焦点距離によって変化し、焦点距離が長くなるほど画角は狭くなっていきますし、逆に短くなるほど画角は広くなっていきます。
一般的に画角と言った場合は、画面の対角線の写すことが出来る範囲の角度を指しています。
上記のキヤノンのレンズの場合は、水平、垂直方向の角度も記載されており、ズームレンズとなりますので、24mmから105mmまでの範囲の角度が記されています。
レンズ構成
現在のレンズ、特にズームレンズにおける構成レンズ(レンズエレメント)の数は多くなっています。
仕様の中のレンズ構成に書かれてある「13群18枚」とは、13のグループに分かれていて、全部で18枚の構成レンズで出来上がっていることを表わしています。
1枚のレンズは、1つのグループになり、貼り合わされた2枚以上の構成レンズは1つのグループとして数えます。
同じ開放F値や同じ焦点距離を持っているレンズでも、レンズの構成が変わると写り方も変わってきます。
絞り羽根枚数
絞り羽根枚数は絞りを構成している羽根の枚数を示しています。
通常の一眼レフカメラのレンズの絞り羽根枚数は、8枚前後となっています。
最短撮影距離
レンズには、ピントを合わせることが出来る最も短い距離があり、それよりは被写体に近づいて撮影することは出来ません。
そのときの撮影距離を最短撮影距離と言います。
撮影距離はカメラディスタンスとも呼ばれていますが、被写体から撮像素子面までの距離となり、撮像素子面の位置はカメラの上部等に距離基準マークとして記されています。
なお、一番先の撮影レンズから被写体までの距離をワーキングディスタンスと言います。
マクロ撮影で被写体に近づいて撮影する場合は、ワーキングディスタンスが重要になる場合もあります。
最大撮影倍率
撮像素子に写る被写体の像の大きさは、レンズの焦点距離や被写体までの距離によって変わってきます。
撮像素子上の像の大きさと実際の被写体の大きさの比率を撮影倍率といいます。
最短撮影距離での撮影倍率を最大撮影倍率といいます。
最短撮影距離での撮影の場合、被写体の実際の大きさと撮像素子上の大きさが等しい場合、つまり最大撮影倍率が 1:1 の場合を等倍といいます。
フィルター径
レンズの一番前(被写体側)の内側にはネジが切ってあり、このネジに各種のフィルターを装着することができます。
フィルター径は、このネジに装着することが可能なフィルターの直径を示しています。
レンズに切られてあるミゾについてはどのメーカーも同じ規格で切られているため、フィルター径が同じであればどのレンズにも装着することができます。
レンズマウント
レンズ交換式の一眼レフカメラやミラーレスカメラのレンズを取り付ける部分のことをレンズマウントと言います。
レンズマウントにはそれぞれ仕様があり、カメラボディ側の仕様とレンズ側の仕様が一致しないと装着することが出来ないようになっています。
カメラメーカーによって独自のレンズマウント仕様になっていますので、メーカーが異なるボディとレンズは装着することは出来ません。
また、同じメーカー内においても複数のレンズマウント仕様がありますので、購入の際は確認する必要があります。
レンズ性能の進化
レンズの性能の中で重要なのは、焦点距離と絞りです。
その他には画角、レンズ構成、絞り羽根枚数、最短撮影距離、最大撮影倍率、フィルター径等があり、レンズの仕様書に書かれています。
その他にもレンズの性能を表わすものがいくつか有ります。
最近のデジタルカメラにおいては、コンピュータ技術の進歩によってカメラ本体の性能の向上とともに、レンズも日々進化しています。
その中で、主なレンズの性能向上についてご紹介したいと思います。
ズーム倍率
ズームレンズでは、個々のレンズで定められたズーム領域内において焦点距離を変えて撮影を行うことが出来ます。
最も長い焦点距離と最も短い焦点距離の比率をズーム倍率といいます。
例えば、キヤノンの望遠ズームレンズの EF 70-200mm 1:4 L IS USM の場合は、200÷70=約2.86となりますので、ズーム倍率は2.86倍となります。
ズーム倍率を高めることは技術的に難しいとされてきましたが、現在では各メーカーの技術力が格段にアップし、高倍率ズームレンズと呼ばれているズームレンズが登場しています。
例えば、一眼レフ用レンズでは、canon EF28-300mmF3.5-5.6L IS USM は、300÷28=約10.7倍となります。
Nikon の AF-S DX NIKKOR 18-300mm f/3.5-5.6G ED VR は、300÷18=約16.7倍となります。
ズームレンズの高倍率化は、一眼レフ用レンズよりもレンズ交換出来ないコンパクトデジタルカメラにおいて高倍率化が進んでいます。
各メーカーのコンパクトデジタルカメラにおいては、さまざまな性能に特化した多くの機種が発表されていますが、その中に高倍率に特化した機種も多く出されています。
高倍率に特化した機種では、ズーム倍率が、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍といった超高倍率ズームレンズを搭載したカメラが多く発表されています。
上記のズームは、ズームレンズを操作して行うズームになりますので、光学ズームと呼ばれていますが、もう一つのズーム機構に、デジタルズームというのがあります。
デジタルズームは、レンズを使って行うズームではなく、デジタル処理を行うことによって同じ効果をもたらしています。
一般的に行われている方法は、デジタル処理によって画像の一部をトリミングして引き伸ばす方法です。
この方法によって大きく見せることが出来ますが、欠点としては引き伸ばす量が大きくなるほど画像の劣化が進んでしまいます。
しかし最近の技術の向上によって、画像の劣化が極力起こらないようにする技術も出てきています。
また、上記の光学ズームとデジタルズームを併用することによって、驚異のズーム倍率を有するコンパクトデジタルカメラも発表されています。
収差
拡大鏡などで物を見た場合に、端の方のものが少し歪んで見えたり、輪郭の部分に実際には無い色が見えたりした経験があるかと思います。
レンズを通して見た時、真っ直ぐな物が少し曲がって見えたり、色が付いて見えたり、少しボケて見えたり、実際のものとは違って見える現象を総称して収差といいます。
一般的にこのような収差は、画面の端の方ほど出やすくなり、また撮影距離が短いほど出やすくなります。
このような収差の現象の種類はいくつかありますが、主なものとしては、直線のものが曲がって見える歪曲収差、ボケて見える球面収差、実際には無い色が見える色収差などがあります。
このような収差が起こる原因はいろいろあります。
主な原因はレンズの表面が球面をしているということと、色はそれぞれ独自の波長を持っており、波長によってレンズの屈折率が異なるということにあります。
これらを解決させるために考え出されたものの一つが、非球面レンズです。
非球面レンズは、通常の凸レンズのような一定の球面ではなく表面の形状を微妙に変えて作られています。
非球面レンズの製造方法は、通常のガラスのレンズを加工して作る方法、プラスチックで作る方法、ガラスのレンズにプラスチックを貼って作る方法などがあります。
収差をなくす主なもう一つの方法としては、凸レンズと凹レンズを複数枚組み合わせる方法です。
しかし収差には幾つかの種類の収差がありますので、全ての収差をこのようなレンズの組み合わせで解決するためには多くの枚数のレンズが必要とされます。
現在は、非球面レンズ、凸レンズ、凹レンズを組み合わせており、構成レンズの枚数が20枚を超えるようなレンズも珍しくはありません。
デジタルカメラ用レンズ
レンズマウントが異なれば同じメーカーであってもカメラ本体とレンズは装着することが出来ません。
レンズマウントが同じであれば従来のフィルム式カメラに使っていたレンズをデジタルカメラ本体に装着して使うことが出来ます。
しかし最近は、デジタルカメラ用レンズと呼ばれているレンズが多く出てくるようになっています。
このデジタルカメラ用レンズというのは、現在のデジタルカメラの特性に考慮して作られたレンズです。
デジタルカメラ本体に装着して使うことによってより優れた性能を発揮することが出来るレンズとなります。
デジタルカメラがフィルムカメラと異なっている主な要素の一つに、レンズを通ってきた光を受光する部分がフィルムではなく撮像素子と呼ばれている部分になります。
フィルムや撮像素子に照射された光は、全てが吸収されるのではなく、一部は反射されます。
実は、この反射される光は最終的に画像として残る写真に悪影響を与えます。
反射する光の量から言えばフィルムの方が多く反射されます。
しかしフィルムの表面には小さな凹凸がありますので、それによって乱反射となり影響は少ないのです。
撮像素子の場合は反射される光は少ないものの反射された光の多くがレンズの方に戻ってしまいます。
これは、撮像素子の表面が鏡のような非常に平らな面で出来ていることに起因しています。
レンズの方に反射して戻ってきた光は、レンズに吸収される光と再び撮像素子に反射される光に分かれます。
このように撮像素子で反射された光が、レンズの方に戻ったり、撮像素子に2重に光が当たったりします。
そうすると、ゴーストやフレアの原因となったり、画質に悪影響を与えます。
このような現象を防止するために、デジタルカメラ用レンズでは一番撮像素子に近いレンズ(後玉)の形状を変えたり、表面にコーティング処理を行っています。
これによってレンズの方に戻ったり、撮像素子に2重に光が当たったりするのを防いでいます。
デジタルカメラ用レンズのもう一つの特徴は、撮像素子の大きさに合わせたレンズが作られているということです。
35mmフィルムの大きさは一定ですが、撮像素子の大きさは35mmフルサイズ以外にも小さな撮像素子を搭載しているデジタルカメラが多く存在します。
APS-Cサイズ以下の撮像素子にたいしては、フルサイズ用のレンズは必要ありませんので、小さい撮像素子を搭載しているデジタルカメラのレンズは小型、軽量化が進んでいます。
ただしこのレンズは、APS-Cサイズ以下の撮像素子を搭載しているカメラ専用になります。
フルサイズの撮像素子を搭載しているデジタルカメラに使用しますと写真の周辺が暗く写ってしまうので使用できません。


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